せっかちな人は「育ち」のせいなのか?
結論から言いましょう。
せっかちな人はその人の育ち(育った家庭環境)でそうなっているのか? という問題について調べたところ、基本的には育ちの問題ではないというのが正解のようです。
どちらかというと、家庭環境の影響よりも、遺伝の影響の方が強いそうです。
(前略)「せっかちは遺伝するのか」「家庭環境がせっかちに影響するのか」といった疑間を持つ人もいるのではないでしょうか?
研究者の立場からは、「家庭環境はあまり関係ありません」と言っておきましょう。
遺伝の面で言えば、やはりせっかちな親の子どもはせっかちになりやすいと考えてもいいでしょう。たとえば、 一卵性双生児の外見や性格がよく似ていることについての研究では、やはり遺伝の要素は大きいとされています。
あくまで確率の話で、両親がせっかちだから、その子どもがせっかちになるとも言い切れません。
ーー『いつもの焦りやイライラがなくなるせっかちさんの本』 杉浦義典 著 より引用
専門家によると、育ちよりも遺伝の方が強いとのことですが、遺伝的な要因も、親がせっかちなら子もせっかちになる確率がやや高いという程度で、両親がせっかちだからと言って必ずせっかちな子供が育つとも言えなさそうです。
たしかに、周りの人を見ていての実感としても育ちは関係ないのではないかと思いますね。
同じ家で同じ両親に育てられて、せっかちとのんびりの兄弟姉妹なんていくらでもいそうだし。
とはいえ、育った家庭環境がせっかちの要因には、直接的にはならないようですが、しかし次のようなちょっと違う見方をすると、家庭環境もそれなりに影響はありそうです。
せっかちになる環境要因
次の引用文を読んでみてください。
(前略)若い年代の生活に必須とも言えそうなファストフード店。カナダで行なわれた研究ですが、住んでいる地域にファストフード店が多いほど、自分の経験をじっくり味わう傾向が低いことがわかっています。
スピードと効率を重視するファストフード店は「せっかちモード」を誘発するのではないかと考えられています。
研究では、対象の半数にファストフード店とそこで提供される食べ物の写真を見せ、もう半数に陶器の食器に食べ物をきれいに盛りつけた写真を見せました。
その後、美しい風景写真を見てもらったところ、ファストフード店の写真を目にした人は、風景写真をじっくり鑑賞できず、幸福感が低いことがわかったと言います。
ファストフード店に行けば、すぐにおいしいものが手に入り、パパっと食事を済ませることができます。そこで提供される食事の味もだいたい予想がついているでしょう。
つまり、ファストフード店での食事はじっくり味わう必要がなく、せっかちな性質を後押しすると言えるのでしょう。
ーー『いつもの焦りやイライラがなくなるせっかちさんの本』 杉浦義典 著 より引用
これは、要するに、簡単に手早く欲しいものが用意されている環境に慣れると、そうでない環境に行った時にイライラしたり、それを待てないような反応をするようになり、誰でもせっかちになる、ということです。
これは皆さんも経験があるのではないでしょうか?
たとえば、音楽をスマホアプリで聴くのが当たり前になると、いちいちCDのディスクをCDプレイヤーに入れて聴いたりするのが億劫になったりしますし、動画も、ネット検索も、どんどん便利に簡単になっていくことで、自分で辞書を引いたり、図書館で調べたりするのがしんどくなった経験がある人も多いかと思います。
コスパだとかタイパだとかいう言葉も結局そういった流れでできてきた言葉でしょう。
そのように、環境によって感覚がせっかちになってしまうということはよくあることなのです。
ということは、「育ち」がまったくせっかちの要因ではないわけではなく、それなりに影響はしているということになると思います。
たとえば、ファストフードで簡単に食事を済ませてばかりのような家庭では、小麦粉を捏ねるところからパンを作ったりするのが当たり前な家庭よりもせっかちな子供が育つ可能性が高そうですし、小さい頃からパソコンやスマホを使わせたりする家庭では、子供にそれらは使わせず、休みの日はのんびり釣り糸を垂れて餌に魚がかかるのを待つような体験をたくさんさせた家庭よりもせっかちが育ちやすい、ということもありそうです。
都会で3分おきに電車が来るような環境で育った人は、田舎で30分に一本しか電車が来ないような地域で育った人よりせっかちになってもおかしくないでしょう。
そう言った意味では「育ち」はせっかちな人の原因になっているのかもしれません。
まあ、現代を生きる上では、ある程度せっかちである必要があるのかもしれませんが。
結論
ということで、前半と後半とで違う「結論」のようになってしまいましたが、要するに、せっかちの要因をまとめるとこういうことなのかなと思います。
⑴遺伝か家庭環境か、でいえば遺伝の方が強い(そもそも性格がせっかちなら家庭環境がどうあれせっかちな人になる可能性が高い)
⑵ただし、家庭環境を含んだその人の育った環境もそれなりに影響はしている(性格的にせっかちでなくても育った環境によってせっかちに傾くことはある)
ということなのかなと思います。
もしあなたが自分のせっかちや他人のせっかちで悩んでいるようでしたら、そのように受け止めて対策を練られるといいのかなと思います。お役に立てば幸いです。