「せっかち」と聞くと、人の意見を聞かないとか、よく考えないで行動する、ミスが多いなど、負の側面ばかりに注目されがちですが、この記事では、そんな「せっかち」の特徴について、ダメダメな側面と活用方法にフォーカスして解説したいと思います。
まずはせっかちの特徴をまとめ、次に負の側面、活用方法の順に解説します。
せっかちの特徴
代表的なせっかちの特徴には、以下のようなものがあります。
1)急がずにいられない
常に時間に追われていて焦っていたり、待ち時間にイライラしたり、周囲から「気が短い」と思われがちです。また、競争心が強く、「早く」「効率的に」という価値観に固執している点が挙げられます。
たとえば、エレベーターの閉まるボタンを連打したり、エレベーターが来るのを待ちきれずに階段に走ったり、宅配便が届くのを待っていられずに集配所まで自分で取りに行ったりします。
2)衝動的に行動する
何かを思いついたり、思い出したりした時に、衝動的に行動を起こしてしまいます。
たとえば、必要かどうかをよく考えずに物を衝動買いしてしまったり、食べたいと思ったものを即食べずにいられなかったり、「限定商品」「期間限定」という文言を見ただけで後先考えずに購入してしまったりします。
3)目先の利益を優先する
長期的な視点に立って、先々の利益を待つことができずに、今すぐの利益を優先してしまいます。一口で言うと、「待てない」ということです。
たとえば、株式投資で、値上がりした株をすぐに売って利益を確定してしまいたくなったり、長期的な計画をコツコツ続けられなかったりします。
4)白黒つけずにいられない
なんでもかんでも曖昧な状態やどっちつかずな態度が我慢できず、不確実性に弱いという特徴です。
イエス・ノーをはっきりさせたり、結論を急いだり、話の結末をすぐに知りたがったりします。
せっかちな人は、以上の主な特徴の掛け合わせで行動し、周囲の人々に「あの人はせっかちだなあ」と、ネガティブな意味で言われるのが常だと思われます。
では次に、そのネガティブな側面を、体験談を通じてみてみましょう。
せっかちのダメダメな側面
以下は、当サイトに寄せられた体験談です。上記の特徴のどれに該当するかみてみましょう。
私は昔はとてもせっかちな性格で何でも急いで済ませようとしていました。ある日のことですが、大事な会議に遅れそうになり、急いで家を飛び出したのですが、焦りすぎて鍵を忘れて家に戻る羽目に。結果、遅刻してしまい上司にかなり怒られました。この経験から、せっかちすぎると逆効果だと痛感し、今は少し余裕を持って早起きし行動するように心がけています。
これは典型的な「1)急がずにはいられない」ですね。w
王道です。
友人と人気のカフェに行ったときのことです。レジ前に数人の列があり、友人は「この列は遅い」と判断して、反対側の列に移動しました。しかし移った先は注文内容が複雑なお客さんが多く、進みが遅い状態。結果的に、最初の列に残っていた私の方が先に注文を終えることになりました。友人は「待てばよかった」と悔しそうでしたが、私はその姿を見て少しおかしく感じました。
これは、とりあえず目先の「早さ」に釣られているので、「3)目先の利益を優先する」に当てはまりそうですね。
もちろん「早さ」に固執しているので、「1)急がずにはいられない」もありそうです。
あと、若干「4)白黒つけずにいられない」も入っているような気がします。こっちとあっちとどっちが早い列なのかわからない状態に耐えられないのではないでしょうか。
人気ブランドのバッグがフリマアプリに格安で出品されていました。「早い者勝ち」と書かれていたのを見て、確認もせず即購入してしまいました。届いた商品は、縫製もロゴも雑な偽物だったのです。冷静に出品者の評価や写真を見ていれば防げたはずなのに、悔しさと自己嫌悪で数日眠れませんでした。さらに腹立たしかったのは、後から周囲に「そんなの怪しいに決まってる」と言われたことです。まるで当然の失敗かのように扱われて、恥ずかしさと悔しさが倍増しました。自分の判断ミスを責められるのは当然ですが、あのときの言葉は心に刺さりました。安さに目がくらんだせっかちな自分が恥ずかしく、今では「即決」は禁句です。価格よりも信頼を重視するようになり、取引前には必ず出品者の過去評価と写真の細部まで確認するようにしています。
これは典型的な「2)衝動的に行動する」ですね。衝動買いして失敗しています。
もちろん「1)急がずにはいられない」も入っています。
釣り好きの人々の中で盛んに議論されているテーマに「せっかちな性格は釣りに向いているか否か」というものがありますが、私の場合明らかに後者です。
自宅が海に近く、釣りが好きで頻繁に出掛けているのですが、せっかちな性格ゆえ中々上達しないのです。竿を出して30分も経たないうちに「アタリが全く無い、このポイントに魚はいないのでは?」と疑心暗鬼になり、焦ってどんどんポイントを変えていってしまいます。その後から同じポイントに入った釣り人が大物をヒットさせる光景を何度となく見るうちに、「自分には釣りという趣味が向いていないんじゃないか・・・」とガッカリした気持ちになってしまいます。
最近は自分のせっかちさを反省し、同じポイントで最低1時間は粘る様になりましたが、それでも思う様に成果は上向きません。長時間冷静さを維持出来る心の鍛錬法があれは良いのですが・・・
これは何やら「4)白黒つけずにいられない」に該当しそうですね。
ここに魚がいるのかどうか曖昧な状態に耐えられないと言うことなんだと思います。
自分はカップ麺ができ上がるのを3分待てない、せっかちタイプの人間です。
その日は忙しく、早く昼食を済ませたいという気持ちもあって1分でカップ麺を食べ始めました。
しかしなんか味が薄いな、変だなと感じます。
半分ぐらい食べたところで気づきました。
自分が手にしていたのは、お湯を入れたまま食べるカップラーメンではなく
お湯を捨ててからソースなどをかけるカップ焼きそばでした。
あわててお湯を捨ててソースをかけたら、今度は味が濃すぎて最悪です。
さすがにこのミスは自分でもひどいなと思いましたし、同僚に見られていなくてよかったと思います。
これもひょっとすると「1)急がずにはいられない」「2)衝動的に行動する」「3)目先の利益を優先する」の3連コンボなのではないかと思います。
まず「早く昼食を済ませたい」というのは「1)」と、「早く食べたい」という「3)」が入っていて、衝動的にソースを入れたらしょっぱくなってしまって「3)」という感じではないでしょうか。笑
というように、上記の特徴分類で考えるとそのせっかちな人が今どのタイプの特徴を発揮しているのかがよくわかるのではないでしょうか。
せっかちの活用方法
せっかちは悪いものではない
以上のような特徴を見ていると、せっかちというのは人間の欠点とか欠陥、短所でしかないように見えるかもしれんが、それは全くの誤りです。
専門家もこう言っています。
進化論から考えると、人類は『早い生活史戦略』ではなく、せっかちとは逆の生き物へと進化してきたはずです。
それにもかかわらず、なぜせっかちという性質が人間に残っているのでしょうか?
そもそも『早い生活史戦略』の生き物たちは、過酷な環境で生存競争を繰り広げています。
あらためてカエルを例にとってみましょう。なぜカエルがたくさんの卵を産むのかというと、外敵が多く、食料も十分にないことが理由です。だからこそ、多くの卵を残して少しでも子孫を生き延びさせるのです。ーー『いつもの焦りやイライラがなくなるせっかちさんの本』 杉浦義典 著 より引用
これはつまり、せっかちが人間の欠陥でしかなければ、進化の過程で淘汰されて、のんびりした人種ばかりが生き残って、人類はみんなのんびりした人ばかりになっていたはずだが、そうなっていないのは、せっかちが人間の生存に大きく貢献してきたからだ、というわけです。
つまり、上で見たせっかちの特徴は、人間が生き残る上で重要な要素だということです。
素早い判断をすることや、衝動的に瞬時に行動に移ること、目先の利益を優先させて、白黒はっきりさせることで、厳しい自然環境を生き抜いてきたのではないか、というわけです。
現代社会でも、企業のトップに立つような優秀な経営者には、せっかちな人も多く、素早い意思決定や決断力や危機回避能力を駆使して企業の舵取りをするような重要な立場には、のんびりよりせっかちの方が向いているぐらいです。
現に、Appleのスティーブ・ジョブズやMicrosoftのビル・ゲイツ、Googleのサンダー・ピチャイなどもせっかちとのことです。
企業のトップばかりではなく、その他の分野でも、せっかちで成功した人はたくさんいます。
では、上記のような、一見すると人間の欠点ではないかと思える「せっかち」を、どう活用したらうまくいくのでしょうか。
せっかちの活用方法
まず、せっかちの活用方法を具体的に見る前に、大前提があります。
それは、「せっかちを治すのではなく、せっかちを活用するのだ」ということです。
上記の杉浦先生はこう言っています。
(前略)せっかちは心理学でも病的なものとは位置づけていません。
『せっかちを直そう』というよりも、『もうちょっと日常を味わおう』という気持ちを持てれば、せっかちさが緩和されていくと思います。ーー『いつもの焦りやイライラがなくなるせっかちさんの本』 杉浦義典 著 より引用
このように、せっかちは別段、治すべきものではないのです。
まずその前提を踏まえて、次のような具体策の中から自分に合ったものを見つけてみてください。
■活用方法・仕事編(ビジネス・キャリアに活かす)
仕事で「せっかち」を活用するために意識することは、ひとえに、仕事の質を上げることです。
即断即決したり、メールやメッセージを即答したり、迅速に意思決定したりすることができても、それらの質が低ければ、ただものすごいスピードで失敗に突き進み、失敗を量産するだけになってしまいます。
なので、仕事全般において、とにかく質の向上に努めましょう。
そのためにまず、質が低かったらせっかちな分だけ人より評価が下がってしまうことを理解し、急ぎたくなったり決断を焦ったりした時には、その質を意識して、本当にこれでいいのかどうかに意識を集中しましょう。
■生活編(生活の質向上に活かす)
生活全般で意識するポイントは、休息すること、休むことです。
せっかちな生活を送っても、他人に迷惑をかけなければ基本何でも構わないのですが、ただ一点、仕事でもプライベートでも休む暇なく動き回ってしまうと、疲れてしまいます。
疲れてしまっては、仕事等でのパフォーマンスにも影響し、先ほど言ったような仕事の質などにも悪影響が出てしまいます。
なので、「疲れを感じたら休む」を心がけましょう。
■人間関係編(家族・友人・恋愛に活かす)
人間関係には色々な局面がありますが、全てにおいて意識すべきことは、人の話を聞き、人の意見、気持ちを尊重することです。
これがあれば「せっかち」は、スピード感がいい方に生きる可能性が高いですが、これがなく、相手を尊重しない場合は、ただただ周囲の人を振り回すことになり、負の側面が強い状態になってしまいます。
ですから、とにかく相手の話に耳を傾けて、相手を尊重することを忘れないようにしましょう。
■活用方法まとめ
以上をまとめると、一番「せっかち」の活用に重要なことは、自分のせっかちに気づくことです。
「せっかち」が起こる時というのは、物事を失敗するか、成功するかの分岐点です。
そこで少し立ち止まり、仕事なら質を、生活なら休息を、人間関係なら相手の意思や気持ちに目を向けられるかどうかで、失敗するか成功するか大きく道が分かれます。
そこに目を向けることで成功する確率が高くなります。
ですから、その分岐点に立って、何かを急ぎたかったり、焦ったり、慌てたりした、その瞬間に、その「せっかち」な状態になっている自分に気づいて、一呼吸置くことで、失敗の確率を下げることに心がけましょう。
以上、せっかちの特徴と活用方法でした。